監査の自動化は、業界に大きな変革をもたらしています。業務の効率化や精度向上、そして手作業の削減など、たくさんのメリットがありますが、新しい技術にはつきものの課題も見逃せません。
この記事では、自動化技術を導入する際に多くの企業が直面する5つの主要な課題と、それらを効果的に克服するための方法について解説します。
目次:
監査自動化の課題トップ5
1. システム間の統合
新しいツールを既存のシステムに統合するのは厄介な作業です。ERPや会計ソフト、データウェアハウスなど、多くのシステムと日々向き合う監査チームにとって、これは大きなハードルです。
主な課題
- 既存システムとの非互換性: 古いシステムは最新の自動化ツールと連携しにくく、統合時に問題が発生することがあります。
- カスタマイズが大変: 既存システムに合わせてツールを調整する際、過度なカスタマイズが必要になり、コストがかさむ場合があります。
解決方法
- さまざまなシステムと連携できる、柔軟な自動化ツールを選択しましょう。
- DataSnipperはExcelアドインとして機能するため、Excelさえインストールしてあればスムーズな導入が実現できます。
- ITチームと早期に連携し、データフローや潜在的な課題を事前に把握しておくことが重要です。
2. ユーザートレーニング
自動化ツールの導入は、単に新しいソフトウェアをインストールして終わりではなく、その後のユーザートレーニングが必須です。
主な課題
- 時間がない: 監査チームは厳しい締め切りに追われているため、トレーニングに割ける時間が限られています。
- スキルのばらつき: チーム内でスキルレベルに差があると、一律の研修では対応しきれないことがあります。
- 継続的なサポート不足: 初回のトレーニングだけでは不十分で、ツールの使用には継続的なサポートが必要です。
解決方法
- 複雑なツールの使用を促すのは非常に困難です。使いやすく、シンプルで直感的に使えるものを選びましょう。
- 「使いやすさ」が導入成功の鍵となる詳しい理由を、こちらからご覧ください。
- 好きなタイミングで学べるオンデマンド学習環境を提供し、チームの時間的なプレッシャーを軽減しましょう。
- 日常の監査業務を扱う実践的なワークショップを開催し、ツールの価値を実感してもらいましょう。
- 専任のカスタマーサポートチームを通して、導入からその後のトレーニングまでのサポート体制を整えましょう。
3. データセキュリティ
監査における自動化ツールは多くの機密データを取り扱うため、データ保護が非常に重要です。
主な課題
- セキュリティリスクの増加: 監査プロセスを自動化すると、機密の顧客データを扱うことが多くなり、脆弱性のリスクを増やす可能性があります。
- コンプライアンス遵守の複雑化: 日本の個人情報保護法やEUのGDPRなど、データ保護に関する規制がますます厳格化しており、遵守するための対応が求められます。
解決方法
- 暗号化やアクセス制限を活用して、機密データを保護しましょう。
- 定期的にセキュリティ保護措置を監査して、規制や業界標準に適合していることを確認しましょう。
4. 変化への抵抗
変化への適応は簡単ではありません。多くの人は自動化ツールを導入する際に慎重になりがちです。
主な課題
- 仕事が奪われる不安: 自動化ツールによって自分の役割が不要になるのではという懸念が広がることがあります。
- 従来のやり方への慣れ: 「今のやり方で問題ないのに、なぜ変える必要があるのか」と感じる人も少なくありません。
- 新ツールへの先入観: 新しいツールは使い方が複雑そうに見え、使いこなせるか不安に思う人もいます。
解決方法
- デモンストレーションを実施し、具体的な業務の簡略化や負担軽減の実現を可視化しましょう。
- 自動化は業務のサポート役であり、置き換えではないという点を積極的に訴えるコミュニケーションを取りましょう。
- 私たちの調査結果によると、実際に84%の監査・財務担当者が、AIを活用した自動化ツールはサポーターであり、仕事を代替するものではないという見方をしています。
5. 社内外の連携
自動化を組織に導入する際には、外部のステークホルダーと連携する必要があります。
主な課題
- 連携のズレ: 外部のステークホルダーが、新しいプロセスを十分にサポートできない場合があります。
- 分断された導入: 自動化ツールが社内だけで導入され、ステークホルダーが新しいワークフローにどう組み込まれるか考慮されないことがあります。
解決方法
- 初期段階から自動化ツールの目的やプロセス変更を外部のステークホルダーにも明確に伝え、期待値を揃えましょう。また、必要に応じてサポート資料を提供し、適応を支援しましょう。
- 社内チームと外部チームの役割分担を明確化したツール統合計画を作成し、新しいワークフローへの移行をスムーズにしましょう。
まとめ
監査の自動化には大きなメリットがありますが、その真の可能性を引き出すためには課題への適切な対処が不可欠です。ツール導入を、円滑な統合と戦略的なステークホルダーとの関係構築を通じて成功させることで、さらにデジタル化が進むであろう将来を見据えた柔軟な監査体制を確立することができます。
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